6.相続不動産を売却したお金を正しく分割
公開日:2020年11月13日
⑥相続不動産を売却で得たお金を正しく分割する方法とは?
相続した不動産を売却したときには代金が得られますが、その代金の分割方法をご存知ですか。
分割方法には種類があり、それぞれのメリットやデメリットがあります。
そこで今回は、分割方法と注意点について紹介します。
□分割方法について
分割方法には「換価分割」と「代償分割」の2種類があります。
換価分割とは、不動産を相続人が共有で相続して、売却する方法です。
この場合、売却代金は相続人の間で均等に分配されて分割が終わるため、トラブルには発展しにくいでしょう。
それに対し、代償分割では、一旦1人の相続人を代表者として立て、その人が全部相続します。
このままでは全ての代金がその代表者の手元に入るため、「代償金」を他の相続人に支払う旨を遺産分割協議書に記載します。
これに基づいて、相続人の間で売却代金を分配し、終了します。
この遺産分割協議書は大変重要であるため、適切に記載しましょう。
譲渡所得税の取り扱いについては、換価分割では全ての相続人がそれぞれ行う必要がある一方、代償分割では代表者が確定申告して支払えば完了します。
どちらを選んでも大きな問題にはならないでしょう。
ただし、「相続税の取得費加算の特例」や「3000万円控除特例」と呼ばれる特例を利用したい方は注意が必要です。
条件を満たしてこれらの特例を利用すると減税ができますが、その条件を満たすためには誰が相続して売却するかが大事であるため、慎重に検討しましょう。
また、社会保険料にも影響があります。
働いている人と働いてない人との間で相続する場合、換価分割では働いてない方のみ多額の保険料が発生します。
しかし、代償分割では両者ともに影響がありません。
□注意点について
代表相続人に名義を寄せた場合、贈与税の課税リスクにつながることに注意する必要があります。
仮に3000万円で不動産が売れ、3人で分配したとしましょう。
このときに代表者が残りの2人に1000万円ずつ分けると、贈与と捉えられ、残りの2人は贈与税を支払う必要があります。
この税金の支払いを避けるためには、客観的に遺産分割の一環で支払われたことを証明すれば良いです。
それを証明するには、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名実印を行えば十分です。
これらの手続きを踏んだ場合、贈与税がかかりません。
このことは国税庁のサイトにも掲載されているため、適切な文言を記載することで贈与税の課税リスクを回避できます。
□まとめ
今回は、相続不動産の売却における分割方法について紹介しました。
初めに誰を相続人にするか決めますが、それが決まったら相続人の間で分割方法を決めましょう。
これを適切に行わない場合はトラブルに発展したり、支払う必要のない税金を払ったりする可能性があるため、慎重に進めましょう。