61.損害賠償も!?空き家放置のリスク
公開日:2021年11月29日
相続や引っ越しで無人になったまま放置している家。
そのまま放っておくと、損害賠償や固定資産税の増額で余計な出費が生じてしまうかもしれません。
今回は、空き家を放置することによるリスクや、空き家が倒壊した場合の責任の所在について紹介していきます。
□空き家を放置した場合に起こりうるリスクとは
・景観や周辺環境の悪化
空き家を放置するとにより、建物の劣化や、雑草が生い茂り虫が繁殖するなどの恐れがあります。
さらには、明らかに人が住んでいないことが明白なため、ゴミの不法投棄などが行われる可能性が高まります。そういった場合、景観の悪化や悪臭などの問題も出てくるでしょう。
影響:
雑草や樹木が近隣の敷地へ入り込むなど近隣住民に大きな迷惑をかけてしまう。
近隣の資産価値に大きく影響することがある。
(隣の住民が住宅を売却することになった場合に隣の建物が荒れた状態であると、売却価格に悪影響を及ぼしてしまいます。)
・倒壊する可能性がある
空き家を手入れすることなく放置すると、建物の劣化し倒壊の危険性が高まります。また、倒壊とまではいかずとも、老朽化により台風などで屋根が飛んだり、放置したままの庭の樹木が倒れたりして、近隣の住宅に被害を与えてしまうケースもあります。
影響:
倒壊による損害は近隣への被害をもたらすこともあり、その損害によっては何千万円~何億円と非常に高額になる場合もあります。
・火災や放火の恐れがある
空き家の場合、傷んだ配線からの出火や放火による火災の可能性が高まります。
影響:
自分の建物が火災により焼け落ちると、その解体費用だけでなく、近隣への損害賠償も考えられます。
人的被害を負わせてしまうと、もっと負担は大きくなるでしょう。
そして、恐ろしいことに・・・
空き家の場合は、通常の火災保険では保険が下りない可能性も大きく、損害費用を丸ごと背負う可能性も高くなってしまいます。
・固定資産税が高くなる
上にあげてきたような、放置して状態の悪い空き家は「特定空き家」に指定されてしまう可能性が高まります。
住宅用地の場合は特例により土地に対する固定資産税の課税標準が6分の1になっていますが、特定空き家に指定されると、この特例から除外されてしまいます。
つまり、固定資産税が6倍になってしまうということになります。
□空き家の倒壊。損害賠償責任を負うのは誰か
民法717条では所有する建物について、以下のように規定されています。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
上記の通り、空き家の倒壊により他人に損害を与えてしまうと、損害賠償は所有者に請求されてしまいます。
想定される損害賠償請求される例としては、
空き家が倒壊して隣の家を半壊させた場合(数千万単位の損害賠償を請求される恐れがあります)
空き家が倒壊し、偶然その前を通りかかった人が負傷する場合。
また、倒壊でなくても、管理が行き届いていないと、風や雨などで同じようなことも起こりえます。
そして、上でも述べた通り、空き家は放火されやすいと言われているので、火災の恐れもあります。
その火災が放火であっても、管理責任を問われてしまいます。
つまり空き家を所有するということは、これらの責任を負うことになります。
□まとめ
今回は、空き家放置のリスクと責任について紹介しました。
空き家は人が住んでいないため、放っておけば建物の老朽化や土地の荒廃が進みます。家の手入れには時間も手間もかかりますが周辺地域に与える影響を考え適切に管理しましょう。
それが難しい場合には、放置空き家によってマイナスが引き起こされる前に売却や活用を検討することも大切ではないかと思います。
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